社外秘や個人情報を、音声入力してもいいのか——声と文章がどこへ行くかを、Macで確かめる
公開日:2026年8月19日
音声入力は、私用では使っているのに、仕事では使っていない。そういう方は少なくありません。話した内容が、どこか外へ送られていないか分からないからです。これは、何も買い足さずに、いますぐ確かめられます。Wi-Fi を切って、ひとこと話す。それだけです。
音声入力には2つのやり方があり、画面では見分けがつきません
話した声を文字にするやり方は、大きく2つに分かれます。
- デバイス本体の中だけで済ませるやり方
- どこかのサーバーへ送るやり方
前のやり方は、聞き取りも、文字にするのもそのデバイスの中で終わります。あとのやり方は、声を送って、返ってきた文字を受け取るので、声がいったん外へ出ます。
デバイス本体の中だけで済ませる
デバイス本体 聞き取りも、文字にするのも
声は外へ出ていません
どこかのサーバーへ送る
どこかのサーバー 声を送って、返ってきた文字を受け取る
声がいったん外へ出ます
使う側から見ると、どちらも同じです。話すと文字が出る。速さも、そう変わりません。画面を見ているだけでは、いま自分がどちらを使っているのか分かりません。ここが、仕事で使いにくい理由です。社外秘の資料や、お客様の名前を口に出してよいのかどうかが、判断できません。
どちらが良い・悪いという話ではありません。外へ送るやり方には、それだけの理由があります(デバイスの力を使わずに済む、聞き取りの仕組みを新しいものに入れ替えやすい、など)。困るのは、どちらなのか分からないまま使うことのほうです。
Wi-Fi を切って、ひとこと話す(全部で3ステップ)
いちばん確かなのは、ネットを切ってみることです。何も買わずに、いますぐできます。
- メニューバーから Wi-Fi を切る(有線でつないでいる方は、ケーブルも抜いてください)
- いつも音声入力を使っている場所で、短く一言、話してみる
- もとに戻す
結果の読み方は、次のとおりです。
- そのまま文字になった → その聞き取りは、お使いのデバイスの中で終わっています。声は外へ出ていません。
- 何も出ない、いつまでも待たされる、エラーが出た → どこかへ送って、返事を待っていたということです。
この確かめ方で分かること、分からないこと
正直に書いておきます。上のやり方ではっきりするのは「ネットが無いと動かないかどうか」だけです。
ネットにつながっているときに、そのソフトが何をどこへ送っているかまでは、この方法では分かりません。聞き取りはデバイスの中で済ませていても、書き終えた文章を別の用途で送っている、ということはありえます。そこから先は、作っている側が何と言っているかを読むしかありません。
読むときに見ていただきたいのは、次の3つです。
- 何が出ないのか。「安全です」ではなく、出ないものの名前が書いてあるか(声なのか、文章なのか、その両方なのか)
- どういうときに出るのか。外へ送る道が別にあるなら、それがどの操作で動くのかが書いてあるか
- いま自分がどちらなのか、使いながら分かるか。設定を思い出さなくても、画面で見えるようになっているか
声と文章のほかに、動くものがあります
「音声入力が外に出ない」と書いてあっても、それは声と文章の話です。同じソフトの中で、別のものが動いていることがあります。仕事で使うなら、ここも一度見てください。
- 覚えさせた言葉の同期。読み方と書き方の組を登録できるソフトでは、その一覧を端末どうしでそろえる機能があることがあります。オンにすると、その一覧は端末の外へ出ます(多くは、お客様ご自身のクラウドへ)。社名や人名を登録していれば、それが外に出ることになります。
- ご契約の確認。有料のソフトは、契約が生きているかを確かめるために、作った側のサーバーへ通信することがあります。ここで何を送っているかは、書いてあるかどうかを見てください。
どれも、それ自体が悪いものではありません。声と文章とは別に、決めることがあるという話です。
まず、Macに入っている音声入力で試せます
macOS には、音声入力の機能がもともと備わっています。まずはそれを試してみてください。上に書いた確かめ方は、そのままお使いいただけます。ネットを切って話してみて、文字になるかどうかを見る。それだけです。
音声入力のもう1つの困りごとを、動画でお見せしています
ここまでは「声と文章がどこへ行くか」の話でした。音声入力にはもう1つ、よくお聞きする困りごとがあります。会社の名前や人の名前が、話すたびにちがう漢字になるというものです。同じ言葉を3回ずつ話して測った結果と、いわゆる単語登録でどこまで直るのかを、Macの画面でお見せしています。
いまどちらで動いているかが画面に出るアプリを作っています
ここまでに書いた「デバイス本体の中だけで済ませる」「いまどちらなのかが使いながら分かる」を形にしたMac用のアプリを、当方でも作って販売しております。KoeType(Mac版)といいます。
はじめの設定のままなら、音声も文章もMacの外に出ません。Macの中の仕組みだけで聞き取って、文字にします。ネットのつながらない場所でも入力できます(ご契約の確認だけは、当方のサーバーへ通信します。送るのはライセンスキー、このMacを表す元に戻せない符号、機種名だけで、音声や文章は送りません)。
外部AIも用意していますが、ご自身で外部サービスのAPIキーを登録したときにしか動きません。キーを登録しなければ、その道は閉じたままです。そして話している間、いまどちらで動いているのかが画面に出ます——鍵の印ならデバイスの中だけ、雲の印なら外へ送っている、という具合です。設定を思い出さなくても、そのつど目で確かめられます。
覚えさせた辞書と定型文は、設定の「iCloudで同期」をオンにしたときだけ、お客様ご自身のiCloudを通って端末どうしでそろいます(はじめは切ってあります)。当方には届きません。