OCRをかけたら、PDFの紙のサイズが変わっていた——元の紙面が残っているかを、Macで確かめる
公開日:2026年8月30日
スキャンした書類に文字認識(OCR)をかけた。文字は選べるようになった。ところが、ファイルが前より重い。印刷しようとしたら、用紙の設定が違う。画面に出る大きさも、前と変わった気がする。——文字を足しただけのはずなのに、なぜでしょうか。理由ははっきりしていて、次からは防げます。ただし、一度そうなったファイルは元に戻せません。そこだけ先にお伝えします。
文字を入れるやり方は、ひととおりではない
文字を読み取る作業そのものは、どのやり方でも、紙面をいったん画像として見るところから始まります。ちがいが出るのは、そのあとです。
- 元の紙面をそのまま残して、読み取った文字を、目に見えない層として上に重ねる
- 読み取りに使った画像で紙面を作り直して、その上に文字を載せる
下のやり方にも理由があります。読み取りは決まった細かさの画像で行うほうが揃えやすく、そこで作った画像をそのまま使えば、作りがひとつで済みます。ただし、そうしてできたPDFの紙面は、もう元の紙面ではありません。紙のサイズ・画像の細かさ・ファイルの大きさが、まとめて動きます。
はがきの大きさが、A2判のポスターになりました
手元で試せる形にしてみます。芥川龍之介の「羅生門」を縦書きに組み、紙に印刷してスキャンしたPDFを用意しました。作者の没後70年を過ぎていて、青空文庫で公開されている作品です。
この元のPDFの紙のサイズは 105 × 148 mm、はがきとほぼ同じ大きさです。中に入っている紙面の画像は 1240 × 1748 画素 でした。
この紙面を画像に作り直すと、どうなるか。画像の画素の数を、そのまま紙の大きさとして受け取る作り方をすると、こうなります。
元のPDF
105 × 148 mm はがきとほぼ同じ大きさ
紙面の画像
1240 × 1748 画素
元のまま
紙面を画像に作り直す
作り直したPDF
437 × 617 mm A2判のポスターより少し大きい
紙面の画像
1240 × 1748 画素
約4.2倍
作り直したPDFの紙のサイズは 437 × 617 mm。A2判のポスターより少し大きい寸法です。組まれている文章は、はがきほどの紙に収まっていたものと同じままです。
※ この数字は、上のPDF1件を測ったものです。もとの紙の大きさや取り込んだ細かさによって変わります。
お手元のPDFを、3ステップで確かめる
何も買い足さなくても、いまお使いの Mac だけで確かめられます。全部で3ステップです。
- そのPDFを「プレビュー」で開く
- メニューバーの「ツール」から「インスペクタを表示」を選ぶ(Command + I)
- 窓の右側に出てくる「ページサイズ」を見る
プレビューはセンチメートルで出します。105 × 148 mm なら「10.5 × 14.8 cm」、437 × 617 mm なら「43.75 × 61.67 cm」です。文字認識をかける前のファイルが残っていれば、そちらも同じように開いて、数字を見比べてください。
ファイルの重さのほうは、Finderでそのファイルを選び、「情報を見る」で確かめられます。
ページによって結果が違うこともあります。何回かに分けて取り込んだ書類では、途中のページだけ紙の大きさが違う、ということが起こります。1ページ目だけで判断せず、途中と最後のページも見てください。
見比べる相手がなくても、気づけます
文字認識をかける前のファイルが、もう手元にない。それでも、画面での見え方で分かります。プレビューで開いて、メニューバーの「表示」から「実際のサイズ」を選んでください。これは、その紙を目の前に置いたときと同じ大きさで画面に出す、という指示です。
はがきほどの書類なのに画面いっぱいに広がるなら、紙のサイズのほうが変わっています。
変わると、何が困るのか
- 印刷と提出。 紙のサイズは、そのPDFが「何判の書類か」という情報です。ここが変わると、そのまま印刷しても元の大きさになりません。用紙を指定して出す書類や、寸法の決まっている提出物では、体裁が保てなくなります。
- 置き場所。 紙面を作り直すぶん、ファイルはたいてい重くなります。1冊なら気になりませんが、何百冊もあれば効いてきます。
- 細かく取り込んだ紙ほど、失うものが大きい。 作り直すときの細かさは、あらかじめ決まっていることがあります。粗く取り込んだ紙面は水増しされるだけですが、細かく取り込んだ紙面は、そこまで落とされます。本文の字くらいの大きさなら見ただけでは分かりませんが、ルビや細い罫線、図版のような細かいところと、あとから拡大して読みたいときに効いてきます。
作り直された紙面は、元に戻せません
この記事でいちばんお伝えしたいのは、ここです。上書きしてしまうと、そこで終わりです。元の紙面は、そのPDFのどこにも残りません。
ですから、文字認識をかけるときは、元のファイルを別に残してからにしてください。コピーを1つ作っておくだけで済みます。この一手間だけは、あとから取り返せません。
元の紙面を残すやり方もある
やり方は、ひととおりではありません。紙面の画像には手を触れず、読み取った文字だけを目に見えない層として重ねる作り方なら、紙のサイズも紙面も元のまま残ります。
ただし、これには条件がつきます。スキャンしたPDFなら、という条件です。もともとパソコンで作ったPDF(文書ソフトから書き出したものなど)には、そこに置いておける「紙面の画像」がありません。そういうPDFは、どのやり方でも紙面を組み直すことになります。
当方でも、この形で試したPDFを測ってみました。埋め込まれている画像がバイト単位で元と同一のまま残り、紙のサイズも変わりませんでした。見た目が変わらないので、変わっていないことに気づきません。それがこのやり方の狙いです。
紙面に触れずに、中の文字だけを入れ替えるアプリを作っています
和田デジタルラボでは、この作業をするMac用のアプリヨミガエルをお出ししています。スキャンしたPDFなら、紙面の画像には触れずに、中の文字だけを入れ替えます。縦書き・段組み・図入りの紙面は、行と読む順番を取り直してから組み直します。フォルダごと渡してまとめて処理でき、読み取りはすべてMacの中で行うので、書類が外へ出ることはありません。
購入前に14日間、ライセンスキーの入力なしでお試しいただけます。お手元のPDFで、紙のサイズが変わらないことを先に確かめてから、お決めください。