スキャンしたPDFの文字がコピーできない——なぜそうなるのか、どうすれば直るのか
公開日:2026年8月13日
紙の書類をスキャンしてPDFにした。画面には文字がはっきり見えている。それなのに、その文字を選ぶこともコピーすることもできない。検索しても引っかからない。この状態には、はっきりした理由があります。そして、直せます。紙をもう処分してしまったあとでも直せます。
画面に見えている文字が、文字とは限らない
PDFの中身は、大きく2つに分かれます。
- 紙面の写真(スキャナが撮った画像そのもの)
- 文字のデータ(どこに、どの字があるか、という情報)
スキャナが作るPDFに入っているのは、多くの場合、上の写真だけです。人の目には文字に見えますが、コンピュータから見ると、濃いところと薄いところが並んだ模様でしかありません。選べないのも、コピーできないのも、検索して出てこないのも、そこに文字のデータが入っていないからです。
スキャンしたPDF
文字のデータが無い
紙面の写真
選べない
あとから入れる
文字を入れたPDF
文字のデータ (目には見えません)
紙面の写真
選べる
言いかえると、足りないのは文字のデータだけです。紙面の写真はPDFの中にちゃんと残っています。文字のほうは、あとから入れることができます。
お手元のPDFに文字が入っているか、2つの操作で分かります
何も買い足さなくても、いまお使いの Mac だけで分かります。プレビューでPDFを開いて、次の2つを試してください。
- 本文の上をドラッグして、文字を選べるかを見る
- Command + F を押して、そのページに確実に載っている語で検索してみる
どちらもうまくいかなければ、そのPDFには文字のデータが入っていません。選べて、検索でも見つかるなら、入っています。
ページによって結果が違うこともあります。何回かに分けて取り込んだ書類では、前のほうだけ文字が入っている、ということが起こります。1ページ目だけで判断せず、途中と最後のページも見てください。
文字は入っているのに、貼り付けると行が入り混じるとき
選べるし検索もできるのに、コピーして貼り付けると行が入り混じって読めない。これはこれで、別の症状です。
文字のデータには、字そのものだけでなく読む順番も一緒に入っています。縦書き、段組み、図や表が混ざった紙面では、この順番が、目で見たとおりに入っているとはかぎりません。1語だけの検索は当たるのに、文章としては取り出せない、というのはこの状態です。
PDFをそのままAIに読ませて話がかみ合わないときも、ここが関係していることがあります。AIが読んでいるのは紙面の見た目ではなく、PDFの中に入っている文字のほうなので、並びが崩れていれば、その並びのまま渡ります。
文字は、あとから入れられます
紙面の写真から文字を読み取って、文字のデータとして入れ直す。この作業を文字認識(OCR)と呼びます。
Macに入っている機能でできること
macOS には、画面に写っている文字を読み取る機能がもともと備わっています。プレビューで開いた1ページから何行かを写し取る、といった用途なら、これで足ります。何かを買い足す必要はありません。まずここを試してみてください。
Macの機能だけでは届かないところ
- PDFをPDFのまま直したいとき。1ページずつ写し取って貼り付けるやり方では、何十ページもある書類は終わりません。
- 紙面の見た目を変えたくないとき。読み取った文字を、見えない層として元の紙面に重ねる形にすると、見た目はそのままで、検索とコピーだけができるようになります。この形を「透明テキスト付きのPDF」と呼びます。
- 縦書き・段組み・図入りのとき。読む順番まで含めて組み直さないと、ひとつ上に書いた「取り出せない」がそのまま残ります。
- 直したいファイルがたくさんあるとき。
紙を捨てたあとでも、PDFだけでやり直せます
取り込み直せなくても、PDFだけでやり直せます。紙面の写真はPDFの中に残っているので、そこから読み直せばよいためです。すでに一度文字認識をかけたPDFでも、中の文字のデータを入れ替えることができます。
PDFのまま・見た目を変えずに直すアプリを作っています
ここまでに書いた「PDFのまま」「見た目を変えずに」「読む順番まで」を1つにまとめたMac用のアプリを、当方でも作って販売しております。ヨミガエル(Mac版)といいます。縦書き・図入り・段組みの紙面をレイアウトから読み直して、検索とコピーができるPDFに組み直します。書類はMacの中だけで処理し、外へ送ることはありません。