スキャンしたPDFの文字がコピーできない——なぜそうなるのか、どうすれば直るのか

公開日:2026年8月13日 (最終更新:2026年10月20日)
書き手:和田デジタルラボ

スキャンしたPDFの文字が選べず、検索でも見つからないのは、文字認識(OCR)をせずに保存したPDFで、紙面の写真しか入っていないからです。Macの「プレビュー」で、メニューの「ツール」を「テキスト選択」にしてから文字をドラッグして選べるか、そのページに載っている語で検索して見つかるかを試すと、どちらか分かります。文字のデータは、紙を処分したあとでも、PDFの中の紙面の写真から読み直して入れられます。

この記事の要点

  • 文字認識をせずに保存したスキャンのPDFは、紙面の写真だけで、文字のデータが入っていません。だから選べず、コピーも検索もできません。
  • 「プレビュー」で「ツール」を「テキスト選択」にしてから文字をドラッグして選べるか、Command + F で載っている語を検索して見つかるかで、文字が入っているか分かります。
  • Appleの「選択またはコピーできない場合」のページに並ぶのは、テキスト選択ツールとパスワードの2つです。スキャンした紙面に文字が無い場合は、そこには書かれていません。
  • 選べるのに、貼ると行が入り混じるのは、文字はあっても「読む順番」が崩れている、別の症状です。
  • 文字のデータは、紙を処分したあとでも、PDFの中の紙面の写真から文字認識(OCR)で読み直して入れられます。読み取れる文字の正しさは、紙面の写真の状態で変わります。
  • 文字の入っていないPDFなら、「プレビュー」の「ファイル」>「書き出す」で「テキストを埋め込む」を選ぶと、文字を入れて書き出せます(Appleの説明)。

次の図は、スキャンしたPDFの文字がコピーできない理由と、見分け方・直し方をまとめたものです(画面写真ではありません)。

説明図(画面写真ではありません)。「スキャンしたPDFの文字がコピーできない」「なぜそうなるのか、どうすれば直るのか」の題。1 コピーできない理由:紙面の写真だけで、文字のデータが入っていない。2 見分け方:「テキスト選択」で選べるか、command・F で見つかるか。3 直し方:文字認識(OCR)で読み直して入れる。下に「選べるのに行が入り混じる:「読む順番」が崩れている別の症状」。
文字認識をせずに保存したスキャンのPDFは、紙面の写真だけで、文字のデータが入っていません。「テキスト選択」で選べるか、Command + F で見つかるかで見分け、文字認識(OCR)で読み直して入れます。

次の4コマは、スキャンしたPDFの文字が選べない理由を、紙面の写真と文字のデータに分けて見せたものです。

横に動かすと、続きのコマが見られます。

  1. 美咲が、スキャンしたPDFの文字を選べずに困っている
  2. プレビューで語を検索しても見つからない画面
  3. 直樹が紙面を虫めがねで見せ、中は点の模様だと説明している
  4. 紙面の写真の上に文字の層を重ねる図の前で、美咲が納得している
PDFは、紙面の写真と文字のデータが重なってできています。文字認識をせずに保存すると、PDFに入るのは紙面の写真だけなので、選べず、検索しても出てきません。

選べないのは、PDFに紙面の写真しか入っていないから

PDFの中身は、大きく2つに分かれます。

文字認識をせずに保存したスキャンのPDFに入っているのは、上の写真だけです(スキャナによっては、取り込むときに文字認識までかけるものもあります。ScanSnapでの設定はScanSnapのOCR(Mac)の記事に書きました)。人の目には文字に見えますが、コンピュータから見ると、濃いところと薄いところが並んだ模様でしかありません。選べないのも、コピーできないのも、検索して出てこないのも、そこに文字のデータが入っていないからです。

次の図は、スキャンしたままのPDFと、あとから文字を入れたPDFの中身を比べたものです。

スキャンしたPDF

文字のデータが無い

紙面の写真

選べない

あとから入れる

文字を入れたPDF

文字のデータ (目には見えません)

紙面の写真

選べる

PDFは、紙面の写真と文字のデータが重なってできています。文字認識をせずに保存すると、入っているのは下の写真だけで、文字のデータは入っていません。あとから重ねても、紙面の見た目は変わりません。変わるのは、選べるか・検索できるかです。

紙面の写真はPDFの中にちゃんと残っています。文字のほうは、あとから入れることができます。

お手元のPDFに文字が入っているか、2つの操作で分かります

何も買い足さなくても、いまお使いの Mac だけで分かります。「プレビュー」でPDFを開いて、メニューバーの「ツール」から「テキスト選択」を選んでから、次の2つを試してください。

  1. 本文の上をドラッグして、文字を選べるかを見る
  2. Command + F を押して、そのページに確実に載っている語で検索してみる

どちらもうまくいかなければ、そのPDFには文字のデータが入っていません。選べて、検索でも見つかるなら、入っています。Command + F は、Appleのキーボードショートカットの一覧では「書類内の項目を検索します。または、「検索」ウインドウを開きます。」というキーです。「プレビュー」のツールバーの検索フィールドに語を入れても、同じように検索できます(Appleの説明では、窓が小さいと検索フィールドが出ないことがあり、そのときは窓を広げます)。

Appleには「Macの「プレビュー」でPDF内のテキストを選択またはコピーできない場合」というページがあります。そこに並ぶのは2つだけで、1つは「テキスト選択ツールが選択されていないことがあります」、もう1つは「PDFで、テキストを選択またはコピーする前に、パスワードの入力が必要なことがあります」です。前のほうは、上の手順のとおり、メニューバーの「ツール」から「テキスト選択」を選べば直ります。スキャンした紙面にそもそも文字が入っていない場合は、このページには書かれていません。この2つを確かめても選べないときは、文字のデータが無いことを疑ってください。

表にまとめると、次のようになります。

起きていること原因と、直すところ
選べない・コピーできない・検索で見つからない文字のデータが入っていない。文字認識(OCR)で、紙面の写真から読み直して入れる
テキスト選択ツールが選ばれていなくて、選べないメニューバーの「ツール」から「テキスト選択」を選ぶ(Appleの説明)
パスワードの付いたPDFで選べない先にパスワードの入力が要る(Appleの説明)
選べて検索もできるのに、貼ると行が入り混じる文字はあるが、読む順番が崩れている。並び順を入れ直す
前のページは選べるのに、途中から選べない一部のページだけ文字が入っている。入っていないページに文字認識をかける

次の画面写真は、文字のデータが入っているPDFで、本文を選んだところです。

macOS のプレビューで縦書きのPDFを開き、本文の行をドラッグして選択したところ。選ばれた行に灰色の帯が掛かっている
文字のデータが入っているPDFを、macOS の「プレビュー」でドラッグしたところ。行に掛かっている灰色の帯が、選べている印です。ここが白いままなら、そのPDFには文字が入っていません。(この画面のPDFは、当方のアプリで文字を入れ直したものです)

ページによって、選べるか・検索できるかが違うこともあります。たとえば、何回かに分けて取り込んだ書類では、前のほうだけ文字が入っていることがあります。1ページ目だけで判断せず、途中と最後のページも見てください。

文字は入っているのに、貼り付けると行が入り混じるとき

選べるし検索もできるのに、コピーして貼り付けると行が入り混じって読めない。これはこれで、別の症状です。縦書きの紙面で1文字ずつ改行される例と、確かめ方は、縦書きのPDFをコピーすると1文字ずつ改行されるときの記事に書きました。

文字のデータには、字そのものだけでなく読む順番も一緒に入っています。縦書き、段組み、図や表が混ざった紙面では、この順番が、目で見たとおりに入っているとはかぎりません。1語だけの検索は当たるのに、文章としては取り出せない、というのはこの状態です。

次の画面写真は、読み取った行と、その読む順番を紙面に重ねて見せたものです。

縦書きの紙面に、読み取った行が青い枠で重なり、右の行から左へ 1 から 13 までの番号が振られている画面
「読む順番」とは、この番号のことです。縦書きなので、右の行の1番から左へ進みます。この番号が紙面の見た目とずれていると、コピーしたときに行が入り混じります。(当方のアプリで、読み取った行と順番を紙面に重ねて表示したところ)

PDFをAIに読ませて話がかみ合わないときも、ここが関係していることがあります。PDFの中の文字を取り出して読むAIなら、並びが崩れていれば、その並びのまま渡ります。

文字は、あとから入れられます

文字認識(OCR)とは、紙面の写真から文字を読み取って、文字のデータとして入れ直す作業です。

Macに入っている機能でできること

macOS には、画像の中の文字を読み取る「テキスト認識表示」という機能がもともと備わっています。Appleの説明では、「「プレビュー」では、テキスト認識表示を使用して、写真の中に表示されるテキストをコピーしたり使用したりできます。」写真や画像を開いて文字をドラッグし、Controlキーを押したままクリックして「テキストをコピー」を選ぶ手順です。何行かを写し取るだけなら、これで足りることがあります。Appleは「テキスト認識表示は、国や地域によっては利用できない場合があります。」とも書いています。スキャンしたPDFでそのまま使えるかは、この記事では確かめていません。

「プレビュー」には、PDFそのものに文字を入れる機能もあります。Appleの説明では、「「プレビュー」は、スキャンしたものや書類の写真などの画像ベースのPDF内のテキストを認識して、書類にテキストを埋め込むことができます。」手順は次のとおりです。

  1. スキャンしたPDFを「プレビュー」で開く
  2. メニューバーの「ファイル」から「書き出す」を選ぶ
  3. 「テキストを埋め込む」を選んで、書き出す

次の画面写真は、手順の3番目の画面です。

「プレビュー」の「書き出す」の画面。「フォーマット」はPDF、「Quartzフィルタ」はなし。その下に「PDF/Aを作成」「最適化PDFを作成」「テキストを埋め込む」「画面に合わせて画像を最適化」「JPEGとして画像を保存」のチェックボックスが並び、「テキストを埋め込む」だけにチェックが入っている
「テキストを埋め込む」にチェックを入れてから「保存」を押します。文字の入っていないPDFを開いたときに出る項目です。(macOS 27.0.1 の撮影用のMacの画面です)

Appleは、この項目について「このオプションは、書類で以前に認識されたテキストがない場合にのみ表示されます。」とも書いています。文字がまったく入っていないPDFのときに出る項目です。試した結果はMacの「プレビュー」でOCRはできる?に書きました。

PDFそのものに文字を入れたいとき

文字の入っていないPDFが1つ、2つなら、まず上の「テキストを埋め込む」を試せます。読み取った文字を、見えない層として元の紙面に重ねたPDFを「透明テキスト付きのPDF」と呼びます。見た目はそのままで、検索とコピーができるようになります。

次のようなときは、PDFの中の文字を入れ直すアプリを使う手もあります。

紙を捨てたあとでも、PDFだけでやり直せます

取り込み直せなくても、PDFだけでやり直せます。紙面の写真はPDFの中に残っているので、そこから読み直せばよいためです。すでに一度文字認識をかけたPDFでも、中の文字のデータを入れ替えることができます(「プレビュー」の「テキストを埋め込む」は、文字の入っていないPDFのときだけ出ます。入れ替えるときは、読み直せるアプリを使います)。ただし、読み取れる文字の正しさは、スキャンしたときの紙面の写真の状態(かすれ・傾き・細かさ)で変わります。

ただし、文字認識のやり方によっては、紙面を作り直して、紙のサイズやファイルの大きさが変わることがあります。かける前に元のファイルを残しておくと安心です。くわしくはOCRをかけたらPDFの紙のサイズが変わっていたときの記事に書きました。

次の4コマは、元の紙を処分してしまったあとでも、PDFだけで文字を入れ直せることを見せたものです。

横に動かすと、続きのコマが見られます。

  1. 美咲が空の書類箱を前に、元の紙を捨ててしまったと肩を落としている
  2. 直樹が、紙面の写真はPDFの中に残っていると説明している
  3. PDFの中の写真から読み直して、文字の層を重ねる図
  4. 文字を入れ直したPDFで、本文の行が選べるようになった画面
紙面の写真は、PDFの中に残っています。そこから読み直せば、もう一度スキャンし直す必要はありません。

すでに文字が入ったPDFも読み直すアプリを作っています

ここまでに書いた「すでに文字が入ったPDFの読み直し」「たくさんのファイル」「読む順番まで」を1つにまとめたMac用のアプリを、当方でも作って販売しております。ヨミガエル(Mac版)といいます。縦書き・図入り・段組みの紙面をレイアウトから読み直して、検索とコピーができるPDFに組み直します。書類はMacの中だけで処理し、外へ送ることはありません。

使えるのは、Appleが作ったチップ(M1 や M4 など)を積んだMacで、macOS 14 か、それより新しい macOS です。Intelのチップを積んだMacと、macOS 13 か、それより古い macOS では使えません。

ヨミガエル(Mac版)の製品ページを見る

確かめた環境と、Appleの説明のページ

この記事は、和田デジタルラボのMac(MacBook Air(M4))で書きました。記事を出した2026年8月13日、このMacの macOS は macOS Tahoe 26.5.2 でした(Macの更新の記録で確かめました)。

「プレビュー」で本文をドラッグして文字を選ぶ手順は、2026年8月27日の動画の撮影で、同じMac(macOS Tahoe 26.5.2)の画面で確かめています。Command + F の検索と、テキスト認識表示は、画面では確かめていません(Appleの説明から書いています)。メニューの「ツール」「テキスト選択」の名前は、2026年10月3日に、このMac(macOS Tahoe 26.6.2)の中の日本語の表記で確かめました。Appleの説明のページの文も、同じ日に、いまのページで確かめ直しました。「ファイル」>「書き出す」の「テキストを埋め込む」は、画面では確かめていません(Appleの説明から書いています)。項目の名前は、2026年10月17日に、このMac(macOS 27.0.1)の中の日本語の表記で確かめました。

2026年10月3日:この記事の要点・一覧表・Appleの説明のページ・確かめた環境と、ヨミガエルの使える条件を書き足しました。

2026年10月17日:「プレビュー」の「書き出す」にある「テキストを埋め込む」(PDFに文字を入れる機能)を書き足しました。

2026年10月20日:「プレビュー」の「書き出す」で「テキストを埋め込む」を選んだ画面写真を足しました。

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