縦書きのPDFをコピーすると、1文字ずつ改行される——文字は入っているのに、並び順が壊れているとき
公開日:2026年8月22日 (最終更新:2026年10月20日)
手順を確かめた日:2026年8月27日(MacBook Air(M4)・macOS Tahoe 26.5.2)
書き手:和田デジタルラボ
縦書きのPDFから文字をコピーして貼ると、1文字ずつ改行されるのは、PDFの中の文字の「並び順」が、縦書きを横書きの規則で読んだ順番になっているからです。文字のデータは入っているので、紙面には手を触れずに、並び順だけを入れ直せば直ります。お手元のPDFがそうなっているかは、Macの「プレビュー」でコピーして、「テキストエディット」に貼ると分かります。
この記事の要点
- 1文字ずつ改行されるのは、文字のデータは入っているのに、PDFの中の並び順が壊れているからです。
- 縦書きの紙面を横書きの規則で読むと、左の列から1文字ずつ拾う順番になります。羅生門の文で作った検証用のPDFの1ページ目では、385行に分かれ、1行に1文字ずつでした。
- 「プレビュー」で本文を選んでコピーし、「テキストエディット」に貼ると、並び順が生きているか分かります。
- 直すには、縦書きの読む順番を取り直せる文字認識(紙面の画像から文字を読み取ること)のアプリで、PDFの中の文字を入れ直します。紙を処分したあとでも、PDFだけでできます。並び順を入れ直したPDFでは、同じ1ページ目が13行、1行あたり32文字になりました。
- 貼る手順の画面は、MacBook Air(M4)・macOS Tahoe 26.5.2 で確かめました(2026年8月27日の動画の撮影のとき)。
次の図は、1文字ずつ改行される理由と、確かめ方・直したあとの結果をまとめたものです(画面写真ではありません)。
この記事と同じ内容を、Macの画面でお見せする動画(5分38秒)もあります。読むより見るほうが早い方は、動画で見る(YouTube)からどうぞ。
次の4コマは、縦書きのPDFからコピーして貼ると、1文字ずつ改行されてしまう場面です。
横に動かすと、続きのコマが見られます。
文字は入っている。壊れているのは並び順
まず、さきほどの状態は「文字が入っていないPDF」とは別のものです。文字が入っていなければ、そもそも選ぶこともコピーもできません(そちらの確かめ方は、スキャンしたPDFの文字がコピーできないときの記事に書きました)。1文字ずつでも貼り付けられたのなら、そのPDFには文字のデータが入っています。
並び順とは、PDFの中の文字を、どの字から順に読むかという順番です。PDFの中の文字には、位置のほかにこの並び順があります。どの字を1番目に読み、次にどれを読むか、という順番です。選択やコピー、検索、そして読み上げは、すべてこの順番に従います。この並び順は、紙面の見た目とは別に、目に見えない形でPDFの中に入っています。
縦書きの紙面を、横書きの規則で読み取ると、この並び順が壊れます。右上から左下へ進むはずの流れを、左上から右へ読んでしまうためです。この記事の検証用のPDFでは、いちばん左の列から右の列へ、1列ずつ、1文字ずつ拾う順番になっていました。紙面の見た目は正しいのに、コピーだけが壊れるのは、そのためです。
次の4コマは、縦書きの読む順番と、紙面の下にある見えない並び順を見せたものです。
横に動かすと、続きのコマが見られます。
385行が13行になりました(同じ紙面・同じ取り出し方)
芥川龍之介の「羅生門」の文を縦書きに組み、スキャンした紙面と同じ形(紙面の画像だけのPDF)にして、文字認識をかけたPDFを用意しました。紙に印刷してスキャンしたものではなく、文庫本の大きさを300dpiで取り込んだときと同じ大きさの画像を、文から作った検証用のPDFです。作者の没後70年を過ぎていて、青空文庫で公開されている作品です。このPDFの1ページ目から、同じやり方で文字を取り出して比べます。
次の図は、同じ紙面から取り出した文字を、並び順が壊れているPDFと、並び順を入れ直したPDFで並べたものです。
並び順が壊れているPDF
て
、
狐
狸
が
棲
む
。
(以下、同じように続きます)
1行に1文字
並び順を入れ直す
並び順を入れ直したPDF
ある日の暮方の事である。一人の下人が、羅生門の下で雨やみを待っていた。
文のまま
数で見ると、こうなりました。1ページ目を取り出したとき、並び順が壊れているPDFは385行に分かれ、1行に1文字ずつでした。並び順を入れ直したPDFは13行で、1行あたり32文字です。同じ紙面、同じ取り出し方で、この差になります。
※ この数字は、上のPDF1件を測ったものです。紙面の組み方によって変わります。
次の画面写真は、並び順を入れ直したPDFで、読み取った行と読む順番を紙面に重ねて見せたものです。
お手元のPDFがどちらか、「プレビュー」と「テキストエディット」で確かめる
Macだけで確かめられます。全部で4ステップです。
- そのPDFを「プレビュー」で開く
- メニューバーの「ツール」から「テキスト選択」を選ぶ
- 本文の行を、上から下へドラッグして選ぶ
- コピーして、「メモ」や「テキストエディット」に貼り付ける
貼り付けた結果が、紙面のとおりの文章になっていれば、そのPDFの並び順は生きています。1文字ずつ改行されていたり、関係のない行が混ざっていたり、本文の途中から始まっていたら、並び順が壊れています。
次の画面写真は、並び順が壊れたPDFで、この4ステップを試したところです。
Appleの説明でも、PDFの文字は「「ツール」>「テキスト選択」と選択して、テキストの上をドラッグし、「編集」>「コピー」と選択します。」とあります。貼った結果の読み方を、表にまとめます。
| 貼り付けた結果 | PDFの中で起きていること |
|---|---|
| 紙面のとおりの文章になる | 文字のデータも、並び順も入っている |
| 1文字ずつ改行され、本文の途中から始まる | 文字のデータは入っているが、並び順が壊れている |
| 関係のない行が混ざる | 並び順が、紙面の見た目とずれている |
| 「テキスト選択」にしても選べない・コピーできない | 文字のデータが入っていない(紙面の写真だけ)か、パスワードが要るPDF |
次の画面写真は、「プレビュー」で本文の行を選んだところです。
紙を捨てたあとでも、PDFだけで直せます
この直し方は、PDFだけあれば足ります。紙をもう一度スキャンする必要はありません。並び順を入れ直す作業は、紙面の画像には手を触れずに、文字のデータだけを差し替えるからです。画質もファイルの大きさも、ほとんど変わりません。文字認識のやり方によっては、紙面を作り直して紙のサイズが変わることもあります。その見分け方はOCRをかけたらPDFの紙のサイズが変わっていたときの記事に書きました。
すでに何百冊ぶんもスキャンし終えて、紙は処分してある。そういう方にとっては、手元のPDFから読み直せるかどうかが分かれ目になります。
PDFの文字を取り出して読むAIにも、壊れた並び順のまま渡ります
PDFを生成AIに読ませて、要約させたり質問したりする使い方が増えています。このとき、PDFの中に入っている文字を取り出して読むAIでは、人が見ている紙面ではなく、PDFの中の文字が渡ります。
その場合、並び順が壊れていれば、その壊れた並びのままAIに渡ります。1文字ずつ分かれた文字列や、行が入り混じった文章を渡された側は、そこから元の文意を組み立て直さなければなりません。先に並び順を直しておくと、渡すものが人の読む文章と同じになります。
なお、これはお客様がAIへ渡すときの話です。当方のアプリが、書類を外部のAIへ送ることはありません。
何行かを写すだけなら、Macの「テキスト認識表示」で足りることもある
macOSには、画像の中の文字を読み取る「テキスト認識表示」という機能が備わっています。Appleの説明では、「「プレビュー」では、テキスト認識表示を使用して、写真の中に表示されるテキストをコピーしたり使用したりできます。」写真やスクリーンショットの文字を選んでコピーできるのは、この機能によるものです。Appleは「テキスト認識表示は、国や地域によっては利用できない場合があります。」とも書いています。
1ページ、2ページであれば、これで足りることもあります。文字を読み取ってコピーし、必要なところに貼り付けます。この記事では、テキスト認識表示で縦書きのPDFを試してはいません。
「プレビュー」には、PDFに文字を入れる「テキストを埋め込む」(「ファイル」>「書き出す」)もあります。ただ、Appleの説明では、「このオプションは、書類で以前に認識されたテキストがない場合にのみ表示されます。」1文字ずつ改行されるPDFには、もう文字が入っているので、この項目では並び順を入れ直せません。文字の入っていない縦書きのPDFで試した結果(上下2段の紙面では、読む順番が崩れました)は、縦書きの紙をOCRで文字にする方法に書きました。
PDFそのものの並び順を直したいとき
次のようなときは、PDFの中の文字を入れ直すアプリを使います。
- PDFそのものを直したいとき。写し取った文字はその場でコピーするものなので、PDFの中の文字はそのままです。
- ページが多いとき。300ページの本を1ページずつ開いて選ぶと、手間がかかります。
- 段組みや図が混ざった紙面で、読む順番まで直したいとき。
1文字ずつ改行される様子と直したあとを、Macの画面で見る(動画・5分38秒)
ここまでの話を、実際のMacの画面でお見せしています。1文字ずつ改行される様子と、直したあとの様子を、続けてご覧いただけます。
並び順を取り直して、中の文字を入れ替えるアプリを作っています
和田デジタルラボでは、この作業をするMac用のアプリヨミガエルをお出ししています。縦書きの紙面から行と読む順番を取り直して、PDFの中の文字を入れ替えます。紙面の見た目は変わりません。フォルダを渡すと、その直下のPDFをまとめて処理できます。読み取りはすべてMacの中で行い、書類が外へ出ることはありません。
次の画面写真は、上と同じ紙面のPDFをヨミガエルで直してから、同じようにコピーして貼ったところです。
購入前に14日間、ライセンスキーの入力なしでお試しいただけます。お手元のPDFで、実際に読めるかどうかを先に確かめてから、お決めください。
使えるのは、Appleが作ったチップ(M1 や M4 など)を積んだMacで、macOS 14 か、それより新しい macOS です。Intelのチップを積んだMacと、macOS 13 か、それより古い macOS では使えません。
確かめた環境と、Appleの説明のページ
この記事の手順の画面は、次のMacで確かめました。
- 機種:MacBook Air(M4)
- macOS:macOS Tahoe 26.5.2
- 確かめた日:2026年8月27日(この記事の動画の撮影のとき)
「プレビュー」で本文を選んでコピーし、「テキストエディット」に貼ると、並び順が壊れたPDFでは1行に1文字ずつ並ぶことを、この撮影の画面で確かめました。macOS のバージョンは、Macの更新の記録で確かめています(2026年7月12日から9月1日まで macOS Tahoe 26.5.2)。
1ページ目の行数(385行と13行)と先頭の文は、2026年8月22日に、同じMacで2つのPDFから文字を取り出して数えたものです。どちらも、羅生門の文から作った検証用のPDFで、紙に印刷してスキャンしたものではありません。撮影の日のPDFは作り直したので、撮影で貼った文の書き出しは、この記事の数字のPDFとは別のところから始まっていました。テキスト認識表示と「テキストを埋め込む」は、画面では確かめていません(Appleの説明から書いています)。「テキストを埋め込む」の項目の名前は、2026年10月17日に、このMac(macOS 27.0.1)の中の日本語の表記で確かめました。Appleの説明のページの文は、2026年10月3日に、いまのページで確かめ直しました。
- Macの「プレビュー」でPDFのテキストを選択してコピーする(プレビューユーザガイド・macOS Tahoe 26)
- Macの「プレビュー」でテキスト認識表示を使用して写真の中のテキストを操作する(プレビューユーザガイド・macOS Tahoe 26)
- Macの「プレビュー」でPDFにテキストを埋め込む(プレビューユーザガイド・macOS 27)
2026年10月3日:この記事の要点・一覧表・Appleの説明のページ・確かめた環境と、ヨミガエルの使える条件を書き足しました。
2026年10月17日:「プレビュー」の「テキストを埋め込む」が、もう文字の入っているPDFには出ないことを書き足しました。
2026年10月20日:コピーして貼った結果の画面写真を2枚(並び順が壊れたPDF・直したPDF)足しました。







