縦書きのPDFをコピーすると、1文字ずつ改行される——文字は入っているのに、並び順が壊れているとき
公開日:2026年8月22日
縦書きの書類をスキャンしたPDFから、文字をコピーして貼り付けた。すると、1文字ずつ改行されて縦に並んでしまった。しかも、本文の途中から始まっている。この状態には、はっきりした理由があります。そして、直せます。
この記事と同じ内容を、Macの画面でお見せする動画(5分38秒)もあります。読むより見るほうが早い方は、動画で見る(YouTube)からどうぞ。
文字は入っている。壊れているのは並び順
まず、さきほどの状態は「文字が入っていないPDF」とは別のものです。文字が入っていなければ、そもそも選ぶこともコピーもできません。1文字ずつでも貼り付けられたのなら、そのPDFには文字のデータが入っています。
PDFの中の文字には、位置のほかに並び順があります。どの字を1番目に読み、次にどれを読むか、という順番です。選択やコピー、検索、そして読み上げは、すべてこの順番に従います。紙面の見た目とは別のところに、目に見えない一列の行列があると考えてください。
縦書きの紙面を、横書きの規則で読み取ると、この行列が壊れます。右上から左下へ進むはずの流れを、左上から右へ読んでしまうためです。結果として、隣り合う行の字が交互に拾われたり、1文字ごとに区切られたりします。紙面の見た目は正しいのに、コピーだけが壊れるのは、そのためです。
385行が13行になりました(同じ紙面・同じ取り出し方)
芥川龍之介の「羅生門」を縦書きに組み、紙に印刷してスキャンし、文字認識をかけたPDFを用意しました。作者の没後70年を過ぎていて、青空文庫で公開されている作品です。このPDFの1ページ目から、同じやり方で文字を取り出して比べます。
並び順が壊れているPDF
て
、
狐
狸
が
棲
む
。
(以下、同じように続きます)
1行に1文字
並び順を入れ直す
並び順を入れ直したPDF
ある日の暮方の事である。一人の下人が、羅生門の下で雨やみを待っていた。
文のまま
数で見ると、こうなりました。1ページ目を取り出したとき、並び順が壊れているPDFは385行に分かれ、1行に1文字ずつでした。並び順を入れ直したPDFは13行で、1行あたり32文字です。同じ紙面、同じ取り出し方で、この差になります。
※ この数字は、上のPDF1件を測ったものです。紙面の組み方によって変わります。
お手元のPDFがどちらか、3ステップで確かめる
Macだけで確かめられます。全部で3ステップです。
- そのPDFを「プレビュー」で開く
- 本文の行を、上から下へドラッグして選ぶ
- コピーして、「メモ」や「テキストエディット」に貼り付ける
貼り付けた結果が、紙面のとおりの文章になっていれば、そのPDFの並び順は生きています。1文字ずつ改行されていたり、関係のない行が混ざっていたり、本文の途中から始まっていたら、並び順が壊れています。
紙を捨てたあとでも、PDFだけで直せます
この直し方は、PDFだけあれば足ります。紙をもう一度スキャンする必要はありません。並び順を入れ直す作業は、紙面の画像には手を触れずに、文字のデータだけを差し替えるからです。画質もファイルの大きさも、ほとんど変わりません。
すでに何百冊ぶんもスキャンし終えて、紙は処分してある。そういう方にとっては、手元のPDFから読み直せるかどうかが分かれ目になります。
AIに読ませるときにも、同じことが起きます
PDFを生成AIに読ませて、要約させたり質問したりする使い方が増えています。このとき、AIが読んでいるのはPDFの中に入っている文字です。人が見ている紙面ではありません。
ですから、並び順が壊れていれば、その壊れた並びのままAIに渡ります。1文字ずつ分かれた文字列や、行が入り混じった文章を渡された側は、そこから元の文意を組み立て直さなければなりません。先に並び順を直しておくと、渡すものが人の読む文章と同じになります。
なお、これはお客様がAIへ渡すときの話です。当方のアプリがAIへ送ることはありません。
まず、Macに入っている機能で足りるかを見る
macOSには、画像の中の文字を読み取る機能が備わっています。写真やスクリーンショットの文字を選んでコピーできるのは、この機能によるものです。縦書きの日本語も読み取れます。
1ページ、2ページであれば、これで足りることもあります。文字を読み取ってコピーし、必要なところに貼り付ける。それで済む場面は確かにあります。
Macの機能だけでは届かないところ
- PDFそのものは変わりません。 読み取った文字はその場でコピーできますが、PDFの中に書き戻されるわけではないので、次に開いたときにはまた同じ状態です。検索にも引っかかりません。
- ページ単位・画面単位の作業になります。 300ページの本を1ページずつ開いて選ぶ作業は、現実的ではありません。
- 並び順を選び直せません。 段組みや図が混ざった紙面で順番が思うように出なくても、そこを直す手段がありません。
同じ話を、Macの画面で5分38秒
ここまでの話を、実際のMacの画面でお見せしています。1文字ずつ改行される様子と、直したあとの様子を、続けてご覧いただけます。
並び順を取り直して、中の文字を入れ替えるアプリを作っています
和田デジタルラボでは、この作業をするMac用のアプリヨミガエルをお出ししています。縦書きの紙面から行と読む順番を取り直して、PDFの中の文字を入れ替えます。紙面の見た目は変わりません。フォルダごと渡してまとめて処理できます。読み取りはすべてMacの中で行い、書類が外へ出ることはありません。
購入前に14日間、ライセンスキーの入力なしでお試しいただけます。お手元のPDFで、実際に読めるかどうかを先に確かめてから、お決めください。